2002年に登場した初代ボルボXC90は、ボルボ初の本格SUVとしてブランドの歴史に新たな一章を刻んだ記念碑的モデルです。当時、急成長を見せていたSUV市場において、スカンジナビアンブランドらしい独自の視点と価値観で開発され、家族のためのプレミアムSUVという新しいジャンルを確立しました。

外観は、直線基調の力強く端正なボディラインが特徴で、無骨さと上品さをバランスよく融合。SUVとしての存在感をしっかりと主張しながらも、控えめで品のある佇まいは、まさにボルボらしいデザイン哲学を体現しています。

インテリアは、当時としては先進的な機能と質感を兼ね備えた設計で、最大7人乗りの3列シートレイアウトを採用。広い室内空間と多彩なシートアレンジにより、家族や荷物を柔軟に受け入れる実用性を誇ります。また、スカンジナビアン家具を思わせるシンプルで温かみのある内装も魅力のひとつでした。

搭載されたパワートレインは、直列5気筒やV8エンジンなど多彩で、特にヤマハと共同開発されたV8エンジンは当時のボルボ車としては異色の存在感を放ち、上質かつ力強いドライビングフィールを実現しました。

安全性能においても、ボルボのDNAがしっかりと息づいており、ロールオーバー防止機構（RSC）やサイドカーテンエアバッグ、堅牢なボディ構造などが標準で備わっていました。家族の安全を何よりも重視する姿勢は、当時から一貫しています。

初代XC90は、12年以上にわたりフルモデルチェンジを受けずに販売され続けた異例のロングセラーでありながら、その間も小刻みに改良を重ね、ボルボらしい堅実な進化を遂げてきました。デビューから20年以上が経った現在でも、多くのオーナーから高い信頼を寄せられている1台です。